2015年11月23日月曜日

2015-11-23 - 「偶然」の起業家 ヘザー・シュック 〜 趣味として始めた子供の洋服作りが事業になった〜





ヘザー・シュック


グラマジャマ(Glamajama)社創業者兼CEO。同社はベビー服・母親を対象とする米国アパレルブランド。彼女は、母親兼起業家として活躍しており、多くのメディアから取材を受けている。テキサス大学オースティン校卒。著書に『The Working Mom Manifesto』(直訳『働く母親によるマニフェスト』)。がある。


1. グラマジャマ(Glamajama)を立ち上げる前に、あなたは株式ブローカーとして働いていました。どのように、そして、いつ、どんな理由で自分の会社を起業しようと思ったのですか。

私はもともとしっかりした人生計画をもっていた。でも、人生とは計画とは別の方向に進むこともあるようだ。かつて、キャリアアップを通じて成功を目指し、金融業界で働いていた。しかし、仕事を始めて2年で、第一子を妊娠した。最初は、出産後に育児休暇をとり、その後、職場に復帰し、産休前の状況からもう一度スタートしようと考えていた。

しかし、第一子を自分の胸に抱いたのち、そのような計画は即座に変化した。幼子を抱えて、競争のとても厳しい金融業界の週80時間勤務の職に戻ることはできないと悟った。あなたも知っているとおり、金融業界は「家族に優しく」はない。特に、幼児を抱えた母親には、それが当てはまる。こうした理由により、私は真剣に自分の人生計画を再検討し始めた。

自分の人生の新しい使命は何か、職業人としてどこを目指すのか、を見定めようとしているなかで、息子の洋服作りを楽しんだ。それは私が始めた趣味だった。息子を公園に連れて行くと、その洋服がすごく可愛いと言ってくれて、どこで手に入れたか、他の母親たちに尋ねられた。私が自分で作成したことを説明すると、彼女たちは次のような質問をしてきた。「私の子供にも作ってもらえる?」。

最終的に、公園で、自分の車のトランクに詰めた手縫いのベビー服を売っている自分がいた。私の車のトランクが洋服でいっぱいになったとき、私に「わかった!(ユーレカ)」という閃きが訪れた。そのとき次のように自問した。「私は、自分の人生の使命を探し続けていた。でも、今それが目の前にあることに気づかずにいた」それが、私が草の根的にアパレル生産の世界に入ったきっかけであり、その分野で何かできると確信できた瞬間だった。この第一歩を踏み出したら、もう後ろを振り返ることはなかった。




2.  日本の読者に対して社名の「グラマジャマ」(Glamajama)の意味を説明してください。どのように考案しましたか。他の案はありましたか。

この社名は、「glamour」(魅惑)という言葉に、少しばかり「流行の先端をいく」、という意味をかけている。私は、キラキラ輝く素材や黒い色を多用するので、作成した洋服はどこか魅惑的な感じがする。もちろん、洋服には遊びの要素もあり、楽しい雰囲気もある。一言でいえば、「刺激的」と表現できる。しばらくの間、「グラマザーマ」(Glamazama)が第1位の競合案だった。しかし、そのサウンドがどこかマンガの本に登場するスーパーヒーローのように聞こえると思った。そんなとき、「グラマジャマ」が思い浮かび、ぴったりだと思った。そうして、この「グラマジャマ」が社名となった。



3. グラマジャマは、最初、世界最大のオークションサイトの「eBay hobby」でうまくいかなかったと聞きました。どうしてでしょう。そうした失敗をどのように、現在の大成功に導いたのですか。あなたの手法は、一般化できますか。起業で成功したいと考えている人が模倣できますか?その場合、どうしたらよいでしょうか。

「趣味」としては失敗したと思っている。私の洋服は、eBayではあまり売れなかった。誰も買おうとしなかった。言うまでもなく、その結果、趣味はすぐに楽しいものではなくなった。いろいろな販売戦略を試してみたが、関心を引き起こすことはできなかった。私は売上をあげることができなかった。この経験を通して、私はビジネスに関する貴重な教訓を得ることができた。それは、自分の顧客は誰かを知る必要があるということだ。

私の顧客は、インターネットでeBayのサイトを閲覧していなかった。彼女たちは実際の店舗であるブティックで洋服を買っていた。この時点で、次のことをやらなければならないことを悟った。自分が本来向き合うべき人たちの前にでること。私の洋服がどのようなものかを説明すること。そうした人たちを私のサポーターと顧客に変えること。その目的を達成するために、私は簡単なウェッブサイトを立ち上げ、私の洋服の販促のために地域のブティックに直接アプローチした。それをやり始めると、軌道に乗った。ここでの鍵は、明らかに自分のターゲット顧客を見つけ、そこに働きかけることだった。

もちろん、事業は地元でスタートした。文字通り、ベビー服のブティックのドアをノックした。自己紹介して、洋服のサンプルとPR用文書を置いてきた。最初の頃は、私の洋服の販促のためにブティックに毎日行くことを申し出た。週末は、ブティックで販売をサポートした。そのプロセスを通じて、私は、ブランドをどのように構築するかを学んだ。私の無料のサービスが店舗の販売を支援する限りにおいて、私が実際に店舗に滞在することは自分にとっても役に立った。顧客が私の洋服やブランドにどのように反応するかを観察することができたからだ。顧客が最初にどの商品を手にするかを観察した。つまり、無料でマーケット調査を実施することができたわけだ。こうしたフィードバックにより、ブランドのデザインの中心的な部分が出来上がっていった。



4. あなたはときどきインターネット系ラジオ(ラジオのブログ版)のゲストとして出演している。そのインターネット系のソーシャル・メディアに関して、重要性も含めて説明してください。グラマジャマ、商品、ブランドのプロモーションにあたって、他のソーシャル・メディアを利用していますか。くわえて、もう少し一般的に、グラマジャマのマーケティング戦略を教えてください。

当社は、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ピンタレストを活用している。これらはすべて、顧客とつながることができ、とても価値の高いツールだ。こうしたツールにより、1対1、あるいは何千マイルも離れたところにいる人と個人的に関係をもつことができる点が好ましいと思う。距離があっても、顧客や市場の鼓動を感じることができる。ソーシャル・メディアはいくつかの障害(物理的な距離)を破壊した。そのため、ソーシャル・メディアは常に私や当社のブランド戦略にとって重要な役割を持ち続けてきた。

ここで2003年まで遡ろう。当時、私はブログとビデオ・ブログを始めた。初期のブロガーが、ビジネスの基礎を構築するうえで、私をサポートしてくれた。彼らは、グラマジャマや私が目指していることを理解してくれ、ブログで記事を書いてくれた。そうしたブロガーの多くは母親たちだった。そして、その多くが私のような起業家だった。私たちはお互いに助け合った。現在でも、ソーシャル・メディアを通じて助け合っている。たとえば、私たちは、他人のメッセージをリツイートし合っている。私たちは、お互いにインスパイアーし合い、フィードバックし合う。こうした女性の多くは異なる州に住んでいるので、コーヒーを飲みに行くといったことはできない。しかし、テクノロジーのおかげで、今、あなた(ガブリエラ)にインタビューを受けているように、スカイプを使って彼女たちと話しができる。こうした「つながり」は、支援ネットワークを構築するための素晴らしい方法だ。



5. あなたはどのようにして、ノードストロームやJCペニーなどの巨大小売企業にグラマジャマの商品を店舗で販売するように説得できたのか。こうした巨大小売店舗で、どのような商品とグラマジャマの商品は競争しているのですか。競合商品に対して、グラマジャマの商品をどのように差別化しているのですか。

実は、そうした巨大小売企業のほうから私に接触してきたのだ。当時、私には、セレブ(有名人)の強力なファンがいた。ハリウッド女優のデミ・ムーアのような人々が私の洋服を着ていたのだ。ある日、デミ・ムーアがパパラッチされた。そのとき、彼女が私のウェッブサイトからオンラインで入手した犬のTシャツを着て、犬と散歩していた。その写真が『US Weekly』誌に掲載され、Tシャツのデザイナーの私の名前がクレジットに入った。それから、電話が鳴り止まず、注文が山のように積み上がった。そのとき、私は、セレブリティー・マーケティングの威力を初めて味わった。

一旦、このセレブ(有名人)のパワーを認識したら、これを積極的に利用するようになり、ロサンゼルスにより頻繁に出張するようになった。そして、人脈を活用した。そうした人脈でセレブを見つけたら、当社の商品を無料で渡して、当社のことを認知してもらうようにした。幸運にも、多くのセレブが当社の商品を気に入ってくれ、私がとったアプローチの方法を受け入れてくれた。セレブたちは私が達成しようとしている目標を理解してくれ、私を支援してくれた。多くのセレブが私にメッセージをくれて、テレビに出演する際に、当社の商品を紹介してくれた。

たとえば、『Dancing with the Stars』という番組がある。一般の人が、俳優と一緒にダンスをする人気番組だ。この番組にずっと出演していた女優のティア・カレル(Tia Carerre)は、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)の番組『オプラ』(Oprah)に出演が決まったとき、私に電話をくれた。「番組に娘と一緒に出演するつもり。娘にあなたの洋服を着せたいが、いくつか送ってくれない?」私は「もちろん、喜んで」と返答した。当然、オプラは、ティアの娘の洋服はどこのブランドかを、番組で尋ねる。ティアがグラマジャマだと答える。それで、ノードストロームやバーニーズなどの大手小売店が私に電話してきた。

小売業において、当社にとっての最大のライバルはプライベート・ブランドである。過去数年、不況による業績の悪化から、多くの小売業は費用を節減する道を探っている。このため、そうした企業は、ブランド商品に投資しておらず、社内(インハウス)で対応することを選択している。こうしたプライベート・ブランドは、他のブティック系ブランドよりも、当社にとって競合商品になっている。当社は、そうした商品に対して、「ブランド」で勝負している。当社の「商品」(の強み)は、私という人間であり、その商品の背後にある「哲学」であると思っている。それが、グラマジャマの差別化戦略である。それがうまく機能するときと、うまく機能しないときがある。うまく機能しないときは、顧客は単に低価格の商品を選ぶときだ。当社は、低コストで製造されるインハウスのプライベート・ブランドをもつ小売企業と、単純に価格だけで勝負したら負けてしまう。



6.  他社から、買収の提案を受けたことがありますか。もしそうなら、それに対するあなたの反応はどのようなものでしたか。もしそうではなければ、そのような提案をどの程度実際に検討しますか。買収の提案を受け入れるか否かの決断において、どのような要因が重要だと考えますか。

不思議なことだが、当社がスタートして約2年が経過したときに、買収のオファーを受けた。その当時、売上高はかなり増加しており、関心を集めていた。しかし、当社はスタート段階だった。そのときは、買収のブローカーからオファーを受けたが、それが私にとって、ターニングポイントになった。最初は、「ちょっとおかしい!この仕事は私の趣味よ。どうして、私の趣味は買収したい人がいるの?」と思った。買収のオファーは、私には理解できなかった。しかし、好奇心から、ミーティングすることとなった。

ミーティング場所に着いたとき、スーツを着た8人ぐらいの人たちが、エクセルの集計表を打ち出していた。役員会用のテーブルの反対側に、手作りの名刺を用意して、私は座っていた。そのとき、とても場違いな気持ちになった。彼らは、私に質問をし続け、自分たちで議論をしていた。その場の雰囲気がかなり深刻なものになったことに、私はたいへん驚いた。そのとき、その場にいる全員が、私のビジネスについて真剣に検討していることに気づいた。正確にいえば、私以外のすべての参加者だ。私とは異なり、先方は私のビジネスに価値を見出していた。このような経験により、私の意識が大きく変わった。

とにかく、具体的なビジネスプランを策定する必要があると悟った。そのときまでは、私は「偶然の起業家」だった。毎日毎日を単に受け入れていただけだった。戦略的な計画を持ち合わせていなかった。資金源もなかった。基本的には、あるチャンスから次のチャンスに単に飛び移っていたに過ぎなかった。このときが、私のビジネスにおいての大きなターニングポイントになった。戦略を策定し、長期的な視点でシステマティックに検討する必要性に気づいた。買収ブローカーが私の契約内容やビジネス関係に対して興味を示したことを観察することで、ブランド構築の重要性を認識した。より明確にいえば、グラマジャマが何を体現するのかを明確にすることが重要だと考えた。

ファッション業界の人間が最初に学ぶ、ビジネスに関する教訓は次の点である。良い商品はすぐに、そして、簡単に模倣されるということだ。あなたの資産が商品だけなら、一旦、模倣されたら、あなたの資産は大きな価値を持たなくなる。だからこそ、資産の鍵となる、あなたのブランドを構築することが極めて重要となる。どのような商品であっても、ブランドはそれ自身が価値を持つ。さらに、ブランドは、多角化を容易にしてくれる。ブランドがあれば、たやすく模倣されるひとつの商品に固執するのではなく、幅広い商品群を提供できるようになる。買収のブローカーによるオファーによって、私の中心的な関心がシフトした。

最近、さらに私の関心がシフトした。今回は、現在の事業を成長させ、最大化することに関心が移っている。これまでは、控えめなスタンスに立ち、自分の時間のほとんどを子供たちのために費やしてきた。現在、自分の自由になる時間が増えていることによって、ビジネス活動を抑制しておく必要はなくなってきた。今の私は次の大きな飛躍の準備ができている。私のいないグラマジャマを想像することは難しい。だから、わたしはグラマジャマに関与し続けたい。もし、買収されても、大きな親会社の傘下にある独立性をもった子会社の社長として残ることができるのなら、買収もひとつの選択肢になる。現時点で、買収などの様々なビジネス・チャンスに対して、中立的な態度で臨みたい。



7. ここ日本では、豪華なレンタルの洋服を着せて、赤ちゃんや幼児の写真を撮影するサービスを提供している「スタジオアリス」という会社が、両親、祖父母の間でとても人気があります。これは、少子化時代に直面し、両親の両方の親(祖父母)の計4つの財布と両親の財布計2つでなる「シックス・ポケット」にアプローチする戦略の例です。グラマジャマも同様の「シックス・ポケット」の戦略を想定していますか。そうでない場合、この戦略は、どの程度アメリカでも有効だと考えますか。グラマジャマの商品を実際に買うためにお金を出している人は誰ですか。

主にお金を使うのは両親だ。しかし、ベビーシャワー(出産前のパーティー)や新生児出産パーティー用のギフトとしても購入されていて、その場合は、祖父母がお金を出す。「the other-hood*としばしば呼ばれるが、赤ちゃんのお叔母さんもよく買ってくれる。この言葉は、作家のメラニー・ノットキン(Melanie Notkin)が作った。その意味は、自分の子供を持たないことを選んだが、姉妹の子供の世話を積極的にする女性のことだ。こうした叔母たちは、祖父母のようにたくさんお金を使わないが、明らかに当社商品の重要な顧客セグメントを構成している。多くのキャリアウーマンが姉妹の子供を甘やかしたいと思っている。そうすることで、彼女たちは間接的に母親の気持ちを味わうことができる。

* parenthood」(親の立場)に対して、「もう一つ」の「親の立場」という意味となる。



8.  あなたの著書『The Working Mom Manifesto』(20135月、『働く母親によるマニフェスト』)を紹介していください。どうして、この本を書いたのですか。この本を通じて伝えたい重要なメッセージは何ですか。


執筆作業は、情緒を解放するようなカタルシスに満ちた経験だった。私は、ビジネスを発展させる「旅」を経験し、変化してきた。成長に伴う苦痛を体験したのちに、私は成熟したと思う。そのように、この本は、私自身と他の女性たちの率直な回顧録であり、ワークライフ・バランスを達成するための、シングルマザーの奮闘記である。物事を片付け、週80時間も働かないこと、そして、携帯電話を秒単位でチェックせずに子供の世話に集中することを、を学ぶのに、私は長い時間がかかった。他の多くの人たちと同じように、健康の危機が引き金となって、私は変化さざるを得なくなった。

私に、脳卒中の兆候が現れはじめたのだ。数日ごとに、身体全体と顔の半分の感覚がなくなった。見ることも聞くこともできなくなった。数えきれないほど、神経科医の診察を受け、原因を突き止めるための恐ろしい検査をした。最初、医者たちは、私に脳腫瘍があると考えた。しかし、腫瘍を見つけることはできず、私の症状の原因は分からなかった。そのとき、医者の友人が代替医療の受診を私に薦めた。

彼女を通じて、素晴らしい鍼療法の医師を紹介してもらった。最初に受診に訪れたとき、その鍼療法の医師は、2時間もかけて私にたくさんの質問をしてきた。これまで受診した医者はそのような質問はしなかった。その受診の終わりに、鍼療法の医師は私の症状の原因はストレスであることを示した。身体的、心理的、生理的、ホルモン系の極度のストレスを私が抱えていて、そのストレスが私の身体のある部分を機能不全にしたとのことであった。

自分を振り返る時間をとった。私は、どれだけ無理をして自分を駆り立てていたかに気がついた。実際、仕事は楽しくなかった。母親であることも楽しめなかった。子供の世話や仕事で完璧でない自分に大きな罪悪感を感じていた。常に、もうひとつ仕事を片付けなくてはと強迫観念を抱えていた。このように無理をして自分を駆り立てることは私の人生にも影響を与えていたことを悟った。私にはバランスを維持することが必要だった。こうした体験は、もう一つのターニングポイントになった。

当社の売上は、50万ドル(5,000万円)に落ち込んだ。そして、私は離婚しようとしていた。あらゆる仕事をこなすために週80時間働いても、うまくいかなかった。その時点で、湖の近くの新しい家に引っ越した。それに伴い、多くの活動も停止した。そして、計画を練った。そのとき、私のマニフェスト(宣言)を書き始めた。私にとって、何が本当に大切か、自分の人生とビジネスをどのようにしたいか。それを書き表したものが、この本だ。

時間をその1年後まで早送りしよう。当社の売上高は500万ドル(5億円)まで増大した。私は週20時間しか働いていないにもかかわらず。計画なしに休みなく働き続けることに比べて、策定した戦略を実行することにより達成できた成果に、私は大きな驚きを覚えた。



9. 次期米大統領は女性だと思いますか。(米国初の)女性大統領が誕生すると、何が変わると思いますか。

次期大統領は女性になってほしい。女性大統領誕生の本来の時期はずっと前に過ぎていると思っている。ヒラリー・クリントン候補は有名だが、様々な悪い印象を与える出来事に悩まされている。仮に、女性大統領が誕生するとしたら、その大統領は、(ヒラリー)より穏健で、同時に国民の関心を集める女性だと思う。その候補は、思いがけないところから出現すると思う。女性大統領候補は、長い間の政界集票マシーンの中にいる女性ではないと思う。むしろ、指導力で成功した経歴と経験をもつ若干知名度が低い女性候補になるべきだと思う。

私の中にいる楽観主義者は、女性の大統領は、職場やワークライフ・バランスにおいて、女性をサポートする立場をとるだろうと思っている。しかし、近年、リーダーのポジションに登りつめた多くの女性には落胆している。マリッサ・メイヤーは、Yahoo!CEOになったとき盛大に歓迎された。当時、彼女は妊娠していた。そして、出産後、働くときに自分の子供をつれてくるために、オフィスの隣に育児室を作った。

同時に、彼女は、他の社員に対して、在宅勤務や育児休暇支援の廃止をすること、社員は専業主婦か仕事(ベビーシッターを雇う)のどちらかを選ばなければならいことを伝えた。マリッサ・メイヤーが制度を廃止する前に、Yahoo!は効果的な在宅勤務制度を持っていた。このシステムを使えば、母親である社員に柔軟性と生産性の両方を維持することが可能だった。ある意味で、マリッサ・メイヤーは、ワークライフ・バランスの模範になり、同時にそれを促進する完璧な機会を得たとき、偽善者のように振る舞ったのである。

Lean In 』(邦題『Lean In(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』)の著者、シェリル・サンドバーグにもがっかりした。女性は前進し、企業幹部になることに情熱的になる必要があるという彼女の前提には賛同する。しかし、彼女が示唆するそのための手法には賛成できない。女性は経済的恩恵を求めて結婚すべきである、女性は自分たちの面倒を見てくれる男性と結婚し、キャリアアップをさらに目指すべきである。彼女のこうした発言には同意できない。私は、彼女が、自分のキャリアや経歴を高めるための手段として、夫や子供を利用しているような印象を受ける。彼女は、家族との関係に対して冷たい態度をもっているような気がする。こうした理由により、彼女は適切なロールモデル(模範的な役割)ではないと考える。

先ほど述べたとおり、女性に対して望ましい政策を実施し、ワークライフ・バランスを促進する女性大統領が誕生することを希望している。しかし、これまでは、落胆する部分のほうが多いので、女性大統領が誕生するかどうかわからない。その答えは、時間が経てばわかる。


学校の設立と教育プログラムの開講

背景
起業家をインタビューしている理由は二つあります。一つは、起業家の育成が日本経済の更なる成長に不可欠だと思うことです。起業家大国アメリカの起業活動、考えを紹介し、日本における起業活動を促進したいと思います。起業家にインタビューしている二つ目の理由は、個人的なものです。私も起業を目指しているので、これらの先駆者から成功のカギを訊き出したいと思っています。

私の起業計画はいくつかの部分から成り立っている大規模なものです。その最初の一歩として、来年、Play-Ed(遊びながら学ぶことを示唆するPlayful-Education )という教育プログラムを米国でスタートします。

共働きやシングル・マザーの多いアメリカでは、放課後のプログラムが多いのですが、将来の所得の基盤となるデジタル・スキルを教えるものはそれほど多くありません。そのため、これらのスキルとS.T.E.M.(Science, Technology, Engineering and Math)または異文化コミュニケーションの知識、能力を伸ばすために、米国のフロリダ州タンパ市で、教育プログラム(課外授業、放課後授業)をスタートしたいと思います。学校を建設する予定地は以下にリンクされますので、ご覧ください。

2016年の夏は、この設備を利用し、1週間の外国人向けの研修を開催する予定です。

1.アメリカの大学、MBA(経営大学院)プログラムの申し込み方、インタビュー(面接)、受験対策
2.コーディング(プログラミング)と英語の「二つのグローバルな言語」
3.セールス・プレゼンテーション

全ての研修は私(教育学博士、MBA)が指導し、マンツーマンのコーチングにもとづき指導します。授業のほかにも、異文化交流や、ディズニーランドなどのような観光も計画しています。

詳細は、私までに直接ご連絡ください。





電子書籍


私と協力者の杉本氏がキンドルで「ノーベル経済学賞受賞者などアメリカの超一流経済・経営学者は今の日本をどのように見ているの」を発行しました。この一冊はこのブログに掲載されたインタビューの抜粋の完全版を紹介します。

つまり、米国の経済学、経営学の13人の「知の巨人」のインタビュー本です。ノーベル経済学賞受賞者など、米国の超一流の経済学や経営戦略の研究者を対象に実施した長時間独占インタビューの内容を紹介しています。ワールドクラスの研究者たちに、最先端の理論にくわえ、現在の日本経済、日本企業に対してどのような考えをもっているのか、日本が競争力を取り戻すための処方箋を、率直に語ってもらいました。 
 
マーケットデザイン(市場設計)、バリューネット、補完的生産関係、一時的競争優位、情報通信産業、マイクロファイナンス、デザイン思考、チーミング、学習する組織、クチコミマーケティング、ビッグデータ、行動経済学、インセンティブなどの最先端のテーマをわかりやすく解説してくれます。 

  
インタビューした研究者は次の13人です。 
スタンフォード大学のアルヴィン・ロス(Alvin Roth)博士(ノーベル経済学賞受賞)。イェール大学のバリー・ネイルバフ(Barry Nalebuff)博士。コロンビア大学のリタ・マクグラス(Rita McGrath)博士。ペンシルベニア大学のマイケル・シンキンソン(Michael Sinkinson)博士。イェール大学のロドリゴ・カナレス(Rodrigo Canales)博士。ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン(Amy Edmonson)博士。バージニア大学のジーン・リエトカ(Jeanne Liedtka)博士。南カリフォルニア大学のナサナエル・ファスト(Nathanael Fast)博士。ハーバード大学のテレサ・アマビール(Teresa Amabile)博士。シカゴ大学のニコラス・エプリー(Nicholas Epley)博士。ペンシルベニア大学のジョーナ・バーガー(Jonah Berger)博士。スタンフォード大学のハリケシュ・ネール(Harikesh Nair)博士。カリフォルニア大学のウリ・グニージィー(Uri Gneezy)博士。 
  
アメリカの著名ビジネススクールからの最先端のレクチャーを存分に楽しんでください。読者の皆さんの仕事やプライベートの両面で、きっと役立つ大きな発見があることでしょう。

ジョセフ・ガブリエラ